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2008.08.13 上毛新聞に記事掲載されました

歯の身元確認システム開発
歯科医の小菅栄子さん

上毛新聞(2008.8.13)

 「歯医者に遺体の身元確認という大切な仕事があると知ったのは、歯医者の父が身元確認に携わった日航ジャンボ機墜落事故の1985年、中学生の時だった」と研究の原点を振り返る。その遺族に励まされ、歯のエックス線写真を利用したパソコンでの身元確認システムを日本で初めて開発、歯科放射線学会の学術奨励賞を受賞した。

 父親にあこがれ歯医者になった。今は父親が院長を務める群馬県高崎市の歯科医院に勤務する。検視警察医としても働く父親の姿を見て、システムの開発を思い立った。「それから10年。日航ジャンボ機墜落事故の遺族が背中を押してくれた」

大学卒業後、8月12日に毎年父親が行っていた御巣鷹の尾根(群馬県上野村)への慰霊登山に参加し始めた。2002年、登山道で高浜雅己機長=当時(49)=の妻、淑子さんと巡り合う。

「夫として5本の歯が渡されたが、本当に夫なのか納得していない」。初めて交わした遺族との会話に衝撃を受ける。父親と2人で後日、淑子さんに歯の身元確認の正確さを説明。「17年間悩み続けたことを知り、遺族の悲しみの深さを感じた」という。

12日の慰霊登山では、昇魂之碑の前で犠牲者の冥福を祈るとともに研究成果を報告。「あなたのような研究者がいるなら520人の犠牲も無駄にならない」との遺族の言葉に涙した。迅速な身元確認で「遺体を一刻も早く愛する家族に返したい」。そんな思いが満ちあふれた。群馬県出身。2児の母の36歳。

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