自分が自分であることの確かな証し、それが「歯」。
インフォメーションネットワークグループ機関紙 ING[イング] 2019 Spring Vol.19 (2019.6.17)
前号に引き続き『Health Information』にご登場いただいた小菅栄子先生。今回は歯科医師と検視警察医の両面から、私たち一人ひとりの個人性=アイデンティティ(ID)を証明する「歯」の重要性について語っていただきました。
歯は大切なパートナー
現在、私は群馬県高崎市の歯科医院で院長を勤めています。日々の診療を通して強く思うことは、もっと歯に関心を持っていただきたい、ということです。
「若いうちに治療をしておけばよかった」とおっしゃる年配の患者さんも多いのです。若いころは体が元気なので、少々歯が悪くてもそれほど不便を感じないため、1本の歯を残すことの大切さに気づきにくいものです。しかし、年を取ると、食事をしっかりんで食べることが何よりも大切になります。
そうなると歯の良し悪しや口の機能が健康に直結してしまうのです。例えば、口の中のわずかな衰え(食事中のむせ、口臭、口の湯き、歯の欠損、食べこぼしなど)を放置してしまうと、知らず知らずのうちに栄養の低下をまねき、全身の健康を損なうことにつながってしまいます。また、 左右でバランスよく咀嚼(そしゃく)することは体のバランスを保つために非常に重要で、歩行などにも容を及ぼしてしまいます。つまり歯は栄養補給だけでなく全身の健康維持に欠かせないものです。高齢者にとってしっかりと噛めることが、長く健康でいるための秘訣です。