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2012.04.11 当院の小菅栄子が宮城県警本部長、高崎警察署長、宮城県歯科医師会より感謝状をいただきました

当院の小菅栄子が、宮城県警本部長(23年10月27日)、高崎警察署長(24年1月20日)、宮城県歯科医師会(24年3月30日)それぞれ感謝状をいただきました。


「あなたは平成23年3月11府発生の東日本大震災に際し、情報科学の研究分野の見地から身元不明者の確認業務を積極的に推進し、歯科記録の照合による身元確認活動に多大な貢献をされました。 ここに深く感謝の意を表します。」

「あなたは平成23年3月11府発生の東日本大震災に際し、「エックス線撮影の枠組みと身元確認に使用するX線写真の自動照合」のアドバイスにより身元不明者の確認作業に多大なる貢献をされました。ここにその功績に対し深く感謝の意を表します」

警察医としての役務を評価いただいたものです。
これもひとえに、皆様の励まし、ご協力の賜と感じております。
ありがとうございました。

2012.04.10 当院の小菅栄子が朝日新聞 全国版社会面に掲載されました

親子2代で歯による身元確認にかかわる
朝日新聞 全国版社会面(2012.4.1)

群馬県高崎市で診療する傍ら、歯型からの遺体の身元確認技術を研究する。東日本大震災では、宮城県警に協力。遺体の歯型の画像をデジタル撮影し、パソコンで管理できるようにするなど、作業のIT化を手助けした。

「歯による身元確認」に出会ったのは、中学生だった1985年の日航ジャンボ機墜落事故。高崎市の歯科医だった父・故篠原瑞男さんが駆り出された。連夜、遺体と向き合った臭いとともに帰宅する姿に、「家族の元に帰すんだという使命感を感じた」。

迷わず歯科部へ。群馬県警で父の検視作業を手伝った。遺体を調べ、生前の記録と紙ベースで照らし合わせる。やり方は85年と変わらなかった。「大きな災害や事故では確認が追いつかない」。指紋のように画像をパソコンで照合しようと考え、東北大の協力を得て07年から成果を発表し始めた。

父が生きていたら飛んでいったはず―。東北大震災の現場に赴き、遺体安置所で棺を次々と開けて家族を探す人々を見た。「あんなむごいことを遺族にさせちゃいけない」。画像照合は実用化できなかったが、IT化が作業時間の大幅な短縮につながった。

新年度から、CT画像の照合の研究も始める。「25年前から進歩しないと父や犠牲者に恥ずかしい」。今の時代だからできることを、と志を新たにする。

2011.11.11 慰霊登山と身元確認支援システムについて、読売新聞 全国版社会面に掲載されました

歯 瞬時に照合
読売新聞(2011.11.1)

御巣鷹の悲願 被災地で実現

東日本大震災から7か月半。時間との闘いが続く身元不明遺体の確認作業に、群馬県高崎市の歯科医小菅栄子さん(40)らが開発した歯の検視記録と震災前の治療記録の照合システムが貢献している。小菅さんは、1985年に同県で起きた日航ジャンボ機墜落事故の際、気の遠くなるような身元確認作業を担った父の姿に打たれ、システム作りに取り組んできた。宮城県警に機械とノウハウを提供し手弁当で手伝っている。

高崎の歯科医らデータベース化

同県警の一室。小菅さんらは、遺体の歯の検視記録が届くと、パソコンに黙々とデータを打ち込む。すでにエックス線画像や治療の痕跡など、約1200人分(10月11日現在)の検視記録がデータベース化されている。行方不明者の歯の治療記録を入力すると、自動的に歯の特徴が似た遺体のデータが示される。最終的に複数の歯科医師がデータを精査して身元を特定する。

県警はこれまで、歯による照合を約1200体行い、約770人の身元を特定した。DNA鑑定による判明は約50人。歯の治療記録があれば、圧倒的に速い。
520人が犠牲になった日航ジャンボ機事故の際、小菅さんの父で歯科医の篠原端男さんは、遺体の歯の写真と歯科医院から取り寄せたエックス線写真を1枚1枚照らし合わせ、身元確認を行った。「迅速に身元確認できれば、遺体を少しでも早く遺族に返せる」。

昨年5月に64歳で亡くなった父が、そう願う姿を、小菅さんは、目の当たりにしてきた。学生時代には、事故が起きた8月12日に毎年、ともに墜落現場の「御巣鷹の尾根」を慰霊登山した。「父の苦労話を聞き、ご遺体を一刻も早く返すのに役立ちたいという思いが募った」

大学卒業後、照合システムの研究を始め、東北大の青木孝文教授(46)らと共同で2006年には原型をつくった。震災後、宮城県入りした小菅さんらが5月からシステムを稼働させると、同県警から「身元確認が格段に速くなった」と喜ばれた。

警察庁によると、10月31日現在、被害が甚大だった岩手、宮城、福島3県に身元不明遺体は852体ある。小菅さんらは震災前から。歯科記録のデータベース化を訴えてきた。日本歯科医師会は8月、データベース化を考える検討会を設置。実現に向けた協議が始まっている。

2011.11.11 慰霊登山と身元確認支援システムについて、読売新聞に掲載されました

父の遺業継ぎシステム開発
読売新聞(2011.8.13)

抜歯科医・小菅さん 「身元判明、高速に」

歯のX線写真で遺体の身元確認を素早くできるシステムを開発中の、高崎市上中居町の歯科医師小菅栄子さん(39)も12日、共同開発者の東北大教授青木孝文さん(46)らとともに、長男優哉君(11)と長女美優奈さん(8)を連れて尾根へ登った。

事故当時、警察歯科医だった小菅さんの亡父篠原瑞男さんは、犠牲者の身元確認という気の遠くなるような作業を、歯のX線写真を1枚ずつ目で確認して続けた。その父の背中が、小菅さんをシステム開発へと向かわせた。東日本大震災後、小菅さんは宮城県警に協力し、震災犠牲者の身元確認作業で手助けしている。

「事故や災害の犠牲者の身元が1人残らず判明しますように」。亡き父が身元確認をした歌手の坂本九さんらの墓標に手を合わせた小菅さんは、「ここは毎年来てるよね」などと優哉君と美優奈さんい向かい、事故を語り継いだ。

2011.11.11 海堂 尊氏の書籍で、院長の小菅栄子が紹介されました

『救命―東日本大震災、医師たちの奮闘』
海堂 尊著

抜粋

震災から二カ月も経過してくると、遺体の腐乱も激しくなり、歯茎から歯が抜け落ちて正確なチャートが取れなくなってきました。

歯がまだ残っているときは歯の形だけでなく、歯石が付いているとか、歯の磨り減り具合で咬み合せが分かるとか、そんなことも情報になるのですが、歯が無い状態になったらデンタルチャートでは情報が不足になってしまいます。

  そういうときにはX線が役に立ちます。
たとえばX線で1本でも特徴的な箇所の写真を撮るとか、歯がなくてもX線で根の治療箇所が分かれば、生前の治療で冠をかぶせるために根の治療をやったことが判明するわけです。

 初めは遺体の数が多くて時間もなかったので、写真やX線撮影は必要ないと言っていましたが、時間が経ってからの検死にとってはX線撮影が大きな頼みになりました。

これを助けてくれたのが、群馬県検死警察医の小菅栄子先生でした。
小菅先生は、お父様が御巣鷹山の日航機墜落事故での検死に尽力されたことがきっかけで、ご本人も身元確認の仕事を志されたという方です。

 X線の専門家でもある小菅先生には、今回のような災害現場で、どのようなX線撮影装置を使用すればよいか、また、どのようなルートで機材を調達すればよいか、さらには、現場でのX線撮影の際の放射線防護についてどのように対策すればよいかなど、さまざまなことを指導していただきました。

2011.11.11 海堂 尊氏の書籍で、院長の小菅栄子が紹介されました

『死因不明社会2 なぜAiが必要なのか』
海堂 尊著

抜粋

1985年8月12日、日航機が群馬・長野県境の山中に墜落した。遺体は激しく損傷していた上に暑さが腐敗を進行させ、顔や指紋による身元確認は難しかった。
当時はまだDNA鑑定技術は確立されていなかった。
歯は死後変形が少なく身元確認に有用だ。
このとき全国の歯科医から取り寄せた歯のX線写真と遺体を目視で1枚ずつ照合する、気の遠くなる作業が続いた。
約3ヵ月の期間と膨大な人員を要し、最終的に520遺体のうち518遺体の身元が確認された。

群馬の歯科医師、小菅栄子の父・篠原端男は地元の歯科医として、遺体の身元確認作業に携わった。
中学生だった彼女は、歯科医師に歯の治療以外に身元確認という役割もあることを知った。
1999年、歯のX線写真を自動照合する身元確認システムの研究を始めたが、当初は自動化が困難だった。
2002年から東北大学の青木孝文教授(情報工学)らと協力し、生体認証に多く利用されている「位相限定相関法」という超高精度画像照合技術を歯に適用した。

これによりX線写真のずれやゆがみを自動補正し、類似性の高い候補者を5%にまで瞬時に絞り込めるようになった。
歯科医の負担を大幅に軽減するこのシステムの原理は2007年に発表された。
誰が巻き込まれたかわからない地震などの天災やテロ事件では、生前X線写真を集めるのが難しい。
一方、日本の歯科受診率は高くX線写真も年間9000万枚以上は撮影されている。
これを生した東日本大震災では、地震と津波により現地歯科医院は倒壊し、診療録やX線写真が失われた。

身元不明社会、生死不明社会にしないため、大量検視に備えて歯のX線写真のデータベース化と緊急時の迅速な情報提供体制を整えておく必要がある。

2010.09.01 産経新聞に記事掲載されました

「もっと迅速に出来れば」
産経新聞(2010.08.08) 毎年、「御巣鷹の尾根」への慰霊登山を続ける女性がいる。高崎市内で歯科医院を開業する小菅栄子(38)だ。小菅の父、篠原瑞男は歯科医師として当時、遺体の確認作業に携わった。

  気温が40度にも達する暑い夏場の体育館で、父は連日、「早く遺族の元に返してあげたい」と次々に運び込まれる遺体と向き合った。

  当時、中学生だった小菅は毎晩、腐臭を染み込ませて帰宅する疲れた父の背中に「歯科医の使命感を垣間見た」という。

  自らも歯科医師の道に進んだ。
父と毎年、慰霊登山を続ける中で、ある考えが頭をよぎり始めた。
  「乗客名簿が残されている旅客機でさえ身元の確認には約2カ月半を要した。名簿がなければどうなるのか」

 確認作業には、遺体の歯一本一本の状態を観察、記録して生前の資料と照合する手作業を踏むが、「もっと迅速に確認できれば、遺族の負担も減る」。
 コンピューター技術を身元確認に取り入れ、生前と死後のレントゲン写真を自動的に照合させる研究を約10年前から始めた。
X線の照射角度によって画像にひずみが生じ、生前と死後の歯型の画像を一致させるのは簡単ではない。それでも、約3年前に東北大の青木孝文教授と協力。指紋照合などに応用されている手法を取り入れ、技術は着実に進歩している。
  小菅は「事故から四半世紀。コンピューター技術も大きく進歩し、性能も上がった。7割くらいは完成しつつある」と話す。

  8年前、父らとの慰霊登山で、ある女性を知人から紹介された。女性は高浜雅巳機長=当時(49)=の妻(66)だった。
  高浜機長の遺体は歯が5本だけしか見つからなかった。「それ(5本の歯)を渡されても…。大事に供養はしましたが、『本当に主人なのか』といまだに納得はできていません」。妻は事故から17年間、抱え続けた心情を打ち明けた。
  小菅は「17年も苦しめていたなんて…。歯型は確実性から『一番理解される』と思っていた。歯科医におごりがあることを痛感させられた」と語る。
  後日、父は、機長の妻を自宅に招き、歯型鑑定の正確性を説明。「これで胸のつかえが取れた」。妻は涙を流したという。
  事故を知る父は今年5月に他界。今年の慰霊登山は、少し違う気持ちで臨む。
  災害やテロ。名簿もない人が突然巻き込まれる大惨事も予想される。技術向上に加え、各医院に散逸するレントゲンなどの情報を集める制度の確立も求められている。小菅はこう言う。「事故を経験した父ら先輩たちの志を私たちの世代が継ぐときが来た」

2010.09.01 読売新聞 夕刊に記事掲載されました

歯のX線写真、自動で照合…
群馬の歯科医ら身元確認用システム
日航機事故で奔走、父の苦労きっかけ

読売新聞(2010.8.10)

 身元不明の遺体の確認を迅速化するため、生前に撮影された歯のエックス線写真を電子画像でデータベース化し、遺体の歯の画像と自動照合するシステムが、実用化に向けて動き出そうとしている。

 開発者の一人は群馬県高崎市の歯科医小菅栄子さん(38)。警察歯科医を務めた亡父が25年前の日航機墜落事故で身元確認に奔走した時の苦労がきっかけだったという。

 日航機墜落事故の身元確認は、現場で発見された歯のエックス線写真と全国の歯科医などから取り寄せたエックス線写真を、目視で1枚ずつ照らし合わせて行われた。

 小菅さんの父親の篠原瑞男さんは高崎市内の歯科開業医で、事故では警察歯科医として無数の歯のエックス線写真を見比べた。事故で亡くなった歌手の坂本九さんの歯型の確認もしたという。

 今年64歳で急逝したが、生前、小菅さんによく「気の遠くなるような作業が続いたが、少しでも早い身元確認が歯科医が遺族のためにできるせめてものこと」と話した。小菅さんは尊敬する父親の後を継ぐべく歯科大で学び、卒業後の1999年から身元確認システムの研究を始めた。

 エックス線写真は一枚一枚撮影角度が違ったり、ゆがみがあったりして、自動照合は困難とも言われた。そこは、画像のゆがみなどを自動補正し、類似性の自動検出法を研究する東北大学大学院情報科学研究科の青木孝文教授(45)(情報工学)の協力で解決し、2006年にシステムは完成した。

 大規模災害時に損傷の激しい遺体の身元確認を迅速化できるほか、犯罪捜査や全国で発見される身元不明の遺体の特定にも応用できるという。昨年の警察歯科医会の全国大会で「作業効率が飛躍的に向上する」と注目され、実用化を目指し、日本歯科医師会が「日本法歯科医学会などとも連携し、IT化を促進したい」と試験運用の準備を進めている。

 小菅さんは「身元確認にITを導入すれば、作業効率がずっと上がるはず。早く身元確認できれば、早く遺族の元に遺体を返すことができる。それも私たちの重要な使命だと思います」と話している。

2010.09.01 読売新聞 新潟版に記事掲載されました

歯のX線写真自動照合 県歯科医師会実用化後押し
読売新聞(2010.8.11)

 日航機事故時身元確認に苦労 亡父の姿開発きっかけに

 身元不明の遺体の確認を迅速化するため、生前に撮影された歯のエックス線写真を電子画像でデータベース化し、遺体の歯の画像と自動照合するシステムが、実用化に向けて動き出そうとしている。開発者の一人は群馬県高崎市の歯科医小菅栄子さん(38)。警察歯科医を務めた亡父が25年前の日航機墜落事故で身元確認に奔走した時の苦労がきっかけだった。研究に注目した新潟県歯科医師会が昨秋、警察歯科医会の全国大会でテーマに取り上げ、導入の機運が高まった。

 日航機墜落事故の身元確認は、現場で発見された歯のエックス線写真と全国の歯科医などから取り寄せたエックス線写真を、目視で1枚ずつ照らし合わせて行われた。小菅さんの父親の篠原瑞男さんは高崎市内の歯科開業医で、事故では警察歯科医として無数の歯のエックス線写真を見比べた。事故で亡くなった歌手の坂本九さんの歯型の確認もしたという。 今年64歳で急逝したが、生前、小菅さんによく「気の遠くなるような作業が続いたが、少しでも早い身元確認が歯科医が遺族のためにできるせめてものこと」と話していた。小菅さんは父親の背中を追って歯科大で学び、卒業後の1999年から身元確認システムの研究を始めた。

 エックス線写真は一枚一枚撮影角度が違ったり、ゆがみがあったりして、自動照合は困難とも言われた。しかし、画像のゆがみなどを自動補正し、類似性の自動検出法を研究する東北大学大学院情報科学研究科の青木孝文教授(45)(情報工学)の協力で課題を解決し、2006年にシステムを完成させた。 大規模災害時に損傷の激しい遺体の身元確認を迅速化できるほか、犯罪捜査や全国で発見される身元不明の遺体の特定にも応用できるという。 研究成果は、米国の学会で高い評価を得たが、日本での関心は低かった。新潟県歯科医師会が昨年11月、警察歯科医会の全国大会のテーマにしたことが転機となった。「作業効率が飛躍的に向上する」と注目され、実用化を目指し、日本歯科医師会が「日本法歯科医学会などとも連携し、IT化を促進したい」と試験運用の準備を進めている。

 県歯科医師会は独自に、この研究に関する検討チームを発足させており、「強力にバックアップしたい」とし、日本歯科医師会にも働きかけを続ける方針だ。

 小菅さんは「身元確認にITを導入すれば、作業効率がずっと上がるはず。早く身元確認できれば、早く遺族の元に遺体を返すことができる。それも私たちの重要な使命だ」と話している。

2010.09.01 上毛新聞に記事掲載されました

父の遺志を継ぎ 今年も御巣鷹に
上毛新聞(2010.8.13)

 「父の思いと一緒に登った。」
高崎市上中居町の歯科医、小菅栄子さん(38)は、長男の優哉君(10)、長女の美優奈さん(7)と一緒に慰霊登山した。事故の犠牲者の身元確認に携わった歯科医で父の篠原瑞男さんと毎年、御巣鷹の尾根に登っていたが、瑞男さんが今年5月に病気で亡くなり、親子2代での慰霊登山となった。

 栄子さんは、父にあこがれて歯科医になった。「初めて尾根に登ったのは約20年前。現場を見て、遺族のために何か役に立ちたい」。
そんな強い思いから、身元確認システム研究を始め、エックス線写真を利用したパソコンでの身元確認システムを日本で初めて開発した。

 父に事故の話を聞き、今は子供たちに語り継いでいる。「子供たちには事故現場で何か感じ取ってもらいたい。父もそう思って私を尾根に連れてきたんだと思う」と話し、父に思いをはせていた。

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